日本精神神経科診療所協会 シンポジウム

公益社団法人日本精神神経科診療所協会平成29年度定時総会第23回(通算44回)学術研究会

シンポジウム8
地域包括ケアの実現に向けて~地域連携と支援技法~

日時: 2017年6月18日(日) 13:00~16:00
場所:第2会場 秋葉原コンベンションホール 5階「5B」
参加者:約80名

当センターからは、阿部先生がシンポジウムの座長として、ソーシャルワーカーの近藤が演者として揃って登壇しました。

とても大きい会場だったので、少し緊張もしましたが、荒川区における認知症に関する地域包括ケアシステムの実績と診療所型の認知症疾患医療センターだからこそ実現できる強みをアピールすることができました。

今後も、荒川区の行政、専門職、関係者が力を合わせて積み重ねてきた日々の取り組みを、正しい情報として情報発信することも、地域連携型認知症疾患医療センターの大事な役割だと受け止めながら、しっかり活動して行きたいと思います。

<報告内容>
■あべクリニックの活動紹介
■地域連携型認知症疾患医療センターに求められる役割
■地域連携の実績と活動報告
■ソーシャルワーカー介入(困難)ケースの分析結果
■今後の課題と活動

【抄録】
「地域連携型認知症疾患医療センターに求められる役割と機能」
演者:近藤康寛 (あべクリニック 認知症疾患医療センター副センター長/ソーシャルワーカー) 

■認知症疾患医療センターとは
 平成24年に厚生労働省が発表した認知症施策推進5か年計画(オレンジプラン)において、認知症疾患医療センターを全国に約500か所整備するという目標が掲げられた。認知症疾患医療センターとは、地域の保健医療・介護機関等と連携し、認知症疾患に関する鑑別診断や初期対応、身体合併症と行動・心理症状への対応、精神保健福祉士等による専門医療相談の実施、地域の専門職へ研修等を行うことにより、地域における認知症疾患の保健医療水準の向上を図ることを目的とした、都道府県及び指定都市より指定を受けた医療機関のことである。平成28年12月末の時点で、認知症疾患医療センターは全国に375か所設置されている。(基幹型:15か所 地域型:335か所 連携型:25か所)

■東京都荒川区における当センターの役割と機能
 医療法人社団讃友会あべクリニックは、平成9年に荒川区日暮里に精神科診療所として開設して以来、荒川区相談医をはじめ地域医療に力を注いできた。平成27年8月、荒川区の地域連携型認知症疾患医療センターとして東京都から指定を受けた。平成28年11月には「あらかわ認知症サポーター1万人プロジェクト」と銘打った大規模なイベントを荒川区と当センターが共催で実施した。本イベントは、認知症普及啓発と関係者のネットワーク構築の促進を図るために、医療・介護・福祉・家族会15団体と連携しながら展開した。イベント当日は、一般区民、当事者・家族、地域の専門職500名が参加した。同日夜には「あらかわ認知症関係者連携交流会」(当センター主催)を開催し、荒川区及び周辺地域の多職種、行政職員、家族会の代表者など約100名が集まり、顔の見える関係性づくりの機会として交流を深めた。平成29年1月、当センターは荒川区認知症初期集中支援チームとしても活動を開始することとなった。地域において介入又は解決が困難な認知症もしくは認知症が疑われるケースの「最後の砦」として、ファーストコンタクトから安定した生活につなぐまで、幅広い対応が求められている。当センターにおける困難ケースの分析結果から見えてくる課題、未来に向けた活動について報告。