認知症疾患医療センターに求められる重要な役割の1つが「地域連携の推進」です。
当センターでは、地域にお住いの方々の診療や相談に応じるほかに、地域の機関・施設で認知症に携わる医師、保健師、看護師、ケアマネージャー、歯科衛生士、社会福祉士、介護福祉士、精神保健福祉士、作業療法士、理学療法士、臨床心理士、弁護士、行政職員と連携します。
地域で認知症をはじめ高齢者のケアに取り組む際、必ずと言っていいほど「連携」という言葉が頻繁に使われます。
連携とは「いつ、誰が、何をすることなのか?」と具体的に考えると、その定義はとても曖昧なことに気づかされます。
当センターでは連携を3つの視点で捉えることをお勧めしています。
①顔の見える連携
(例)日々の交流、グループワークなど
②協働する連携
(例)ケア会議、訪問同行、研修・イベントの共催など
③統合システムとしての連携
(例)認知症ケアパス、情報サイト、行政窓口の案内(パンフレット)など
地域連携チームとして認知症ケアに取り組む際は、例えば「住み慣れた地域で暮らす」のようなゴール(目標)を定め、当事者、その家族と専門職が同じゴールを目指すことが重要です。
ゴールが決まれば多角的な視点で意見・情報交換を行い、ケースに携わる地域のチームとして合意形成を整えながらゴールを目指して取り組むことができます。
実際、地域の現場ではゴールに達しても、すべて解決(ケース終結)することは少なく、課題解決を含めた新たなゴールを設定する必要が出てきます。
惰性でサポートを継続するのではなく、ゴールを決めて地域チームで評価を行い、新たなゴールに向けて適切なチームプレーができる環境を調整する。
こうした循環を継続できる地域が認知症の当事者やその家族にとって理想的です。
当センターでは、日々の活動を通じて地域連携の推進に尽力していきます。
あべクリニック 精神保健福祉士 近藤康寛